タイトル;高度進行胃癌に対するlow dose CDDP・5-FU術後投与の有用性に関する研究
集積期間;1996.5~2000.3
集積症例数;190症例
解析対象症例数;188症例
中間報告書提出:2001.12
治療スケジュール;
- low dose CDDP・5-FU、UFT経口(CD)群
- UFT経口(UF)群
結果;
- 2001年5月現在(集積終了時より約1ヵ年)における中間解析の結果は
- (1)投与状況は、CD群のCDDP・5-FU投与は規定の4週間以上投与が85例とほとんどで、良好であった。術後1年間におけるUFTの投与量は、CD群はUF群に比較して少ない傾向にあった。
- (2)術後1年間の検査値異常・有害事象発現状況は、血小板減少、GOT(GPT)上昇、食欲不振、悪心・嘔吐、発熱がCD群に有意に多かった。
- (3)生存率の層化調整logrank検定によるUF群に対するCD群のハザード比は0.74、p=0.189であった。無再発生存率のUF群に対するCD群のハザード比は0.65、p=0.049であった。
- (4)生存率、無再発生存率における群の効果の時間依存性を検討したところ、生存率においては9ヵ月以内、無再発生存率においては6ヵ月以内の時期で群間差は顕著であった。
- (5)栗原様式によりQOLを評価し、術後1年間の群間比較を行った。CD群のQOLはUF群に比し有意に低下していた。
考察;
本研究における低用量FP療法の結果を特定研究20における高用量FP療法のそれと比較してみると、前者は後者に比べてコンプライアンスは高く、有害事象の発現率は少なかった。生存に関連する効果については、CD、UF両群は全体としては統計学的に有意差はなかったが、無再発生存率は明らかに群間差を認めた。また、生存率・無再発生存率への効果には時間依存性が認められ、術後1年以内に限ると群間差が顕著であったので、本研究における治療スケジュールの投与期間が6週間と限定していたことが治療効果を持続させなかったものと考察される。特定研究20における高用量FP療法の否定的な中間解析結果に鑑み、低用量FPの長期療法の臨床効果を追求する新しい臨床研究の速やかな計画が望まれる。