公益財団法人 がん集学的治療研究財団 理事長 前原 喜彦
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新年明けましておめでとうございます。
公益財団法人がん集学的治療研究財団は1980年に開設以来、主な事業としてがん薬物療法を中心とした臨床試験を展開し、胃癌や大腸癌、その他乳癌や肺癌等に関する多くの大規模臨床試験を実施してきました。その実施試験数は現在進行中のものも含め51課題となります。登録施設数は延べ6,600施設以上となり、これまで40,000例以上の症例が登録されています。その成果も85編の英文論文として昇華され、Ann Oncol(IF:13.930)などの一流誌に掲載されています。今後、新しい臨床研究法のもと、新規の臨床試験を立案し、実施してゆきたいと考えています。
さらに、当財団としては、今まで実施してきた臨床試験の登録情報をもとにして、データベース(DB)事業を行うことを計画しています。昨今ビックデータが注目されていますが、がん薬物療法のDB化は特に重要な社会的インフラの整備となり、この事業は、2018年の厚生労働省臨床効果データベース整備事業として採択されました。
特に当財団には、大腸癌の補助化学療法に関しPhaseⅢ試験を含め12,000例以上の登録情報が残されており、これを一元的にDB化することで、米国や欧米が構築しているACCENTデータベース(結腸癌補助化学療法に関する米国と欧州の臨床試験DB)と統合したいと考えています。臨床試験の登録情報を用いた大規模データベースでは、症例数の多さと内容の正確さを生かし、エンドポイントの妥当性や、年齢や人種による薬物の効果の違いなどを詳細に解析することで、わが国と欧米の大腸癌が生物学的に同じなのか、違うのかという長年の命題に答えが出るのではないかと期待しています。
また、一般研究助成事業につきましては、これまで498件の課題に対しまして、総額6億5,160円の助成を行ってまいりましたが、その受賞された内の315名の先生方は教授に就任されるなど、がん研究の推進に大きく貢献しているものと考えています。
本年も職員一同なお一層の努力をする所存です。今後とも、皆様からの御支援・御協力を賜わりますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
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