(公財)がん集学的治療研究財団 メールマガジン「JFMCからのメッセージ」 vol.26
 
今月のコラム
 
島田 光夫 氏

がん集学的治療研究財団
評議員
東京大学大学院
医学系研究科
消化管外科学
教授  瀬戸 泰之

人口動態統計―雑感―

 人口動態統計は政府統計の一環として毎年、厚生労働省が公表しているものである。厚生労働行政施策の基礎資料となっているものであり、出生届や死亡届などの全数を対象としており、おそらくこの領域にける我が国最大のビッグデータであり、信頼性も極めて高いものと考える。筆者はしばしば参照目的で、この統計にアクセスしているが、この機会を利用して直近の「がん」に関するデータを紹介したい。この統計では1947年以降の数値が公表されている。それ以前にも同様の統計もあったものと推測するが、その詳細を知ることはできないのであろうか。少々残念ではある。いずれにしても、2017年我が国では、1,340,397人が亡くなっており、そのうち373,334人が悪性腫瘍で命を落としている。1981年以来、悪性腫瘍が1位(全死亡中27.8%)となっており、その数は右肩上がりである。これだけ様々な治療方法が進歩していながら、なぜなのだろうかと感じてしまう。あらたに誕生したのが946,065人であったので、2017年はほぼ40万人の人口減であったことがわかる、すなわち、悪性腫瘍による死亡を根絶することができれば、我が国喫緊の課題である人口減少もただちに解決できることになる。もちろん、非現実的な話ではあるが、その努力、活動をなお一層前進させる必要があると感じるのは筆者だけではあるまい。
 悪性腫瘍の中でも、気管、気管支及び肺の悪性腫瘍が死亡数74,120人で一位、大腸が50,681人で二位、胃が45,226人であった。気管、気管支及び肺の悪性腫瘍による死亡は1975年14,759人であったので、40年間で実にほぼ5倍になったことになり、癌研究の最重要臓器であることは間違いない。ちなみに、胃は同年49,857人であったので、ほぼ変わっていないことがわかる。胃癌罹患率はH.pylori感染の減少などにより減少しているはずであるのに、死亡数がさほど変わっていないのはなぜであろうか。データを読み解くことが肝要であるが、間違いなく人口構成の変化、すなわち高齢化によるものと考えられる。実際、悪性腫瘍が40歳から89歳まで死因の一位となっている。高齢化による影響を除外するために、人口動態統計では、年齢調整死亡率も公表している。1985年の人口構成をモデルとするものであり、流石厚生労働省と感じ入る。その手法について興味ある方は、ぜひホームページにアクセスしていただきたい。さて、年齢調整後の数値であるが、悪性腫瘍による年齢調整死亡率(人口10万対)は男性において、1995年226.1であったものが、2017年157.5と低下、女性においても、1975年121.1であったのが、2017年85.0とやはり低下しており、少々ホッとできる感じである。臓器別にみてみると、気管、気管支及び肺では、男性1975年28.1、2017年36.8、女性 8.3から10.3といずれも増加していることがわかる。一方、胃では、男性1975年79.4が2017年20.9、女性でも39.8から7.6と、ほぼ1/4になっていることがわかり、胃がんを専門としている筆者としては心強い。
 ほかにも、自宅で亡くなる割合は全国で13.2%に過ぎないが、東京が17.9%でもっとも高く、次いで神奈川が17.1%で二位など、このビッグデータは実に奥が深く、かつ興味深い。これからの本財団の施策決定においても、その検討過程においてぜひ活用していただきたいものである。

 
   
 茂木 友三郎 名誉会長が文化功労者に選出されました。

本財団の名誉会長である、茂木友三郎 氏(キッコーマン株式会社 取締役名誉会長 取締役会議長)が、10月26日に、 平成30年度の文化功労者に選ばれました。
文化功労者の制度は、昭和26年に制定された、我が国の文化の発展に関し特に功績顕著な方々を顕彰するものです。
茂木友三郎 名誉会長は、「日本の『食』にふれることが、世界の人々が日本に対する理解を深めるきっかけとなり、食文化の国際交流が友好の促進に寄与するものと確信している。今後も引き続き、日本の食文化の普及・継承と、食文化の国際交流に努めていく」とのコメントを発表されました。
キッコーマンの米国でのしょうゆ生産などに尽力したほか、しょうゆを世界に広めていくことを通じて食文化を紹介し、国際交流に幅広く貢献されたということで選出されました。
本財団に会長としてご就任頂いていた頃は、グローバルな視点で、事業運営について様々なご指導をいただきました。 本メールマガジンでも過去にコラムをご執筆頂いております。

ご覧頂く場合は、こちらをクリックして下さい。

 
   
平成30年度第39回一般研究助成者が決定しました!

表紙
去る10月4日(木)に第43回一般研究選考委員会を開催し、委員の先生方により、51件の中から厳正なる選考の結果6名(採択率11.8%)の方が決定致しました。
詳細をみる
なお、平成30年度 第38回一般研究発表会および第39回贈呈式を来る12月14日(金)に開催致します。
後日、関係者の皆様にはプログラムをご郵送させていただきます。
詳細をみる
 
JFMC50-1701-C6  ESMO 2018発表報告
会場風景1

2018年10月にミュンヘンで開催されたEuropean Society of Medical Oncology (ESMO2018)において、Treatment pattern and outcomes of trifluridine/tipiracil therapy for metastatic colorectal cancer in the real-world data from the JFMC50 studyをポスター発表させて頂きました。本研究は中止理由別にグループ分けを行い、各々のOSを評価した研究です。興味深いのはRECIST PD後もTAS-102の継続することで生存利益が得られる可能性が示唆されたことです。また、後方視的研究ではありますが、約1700例に及ぶ症例数であり、日本のTAS-102の実地診療のデータを解析したという点でも大変意義のある研究と思います。多くの海外の先生から質問を受け、この研究へ関心を持って頂けているようでした。

静岡がんセンター消化器内科 川上武志

 
第18回理事会を開催しました
会場風景1
 
会場風景2
平成30年10月4日(金)に当財団の理事会が開催され、各理事・監事の方々からは活発なご意見やご指導を賜りました。

【審議事項】:
第一号議案:平成30年度一般研究助成選考結果の答申に関する件
第二号議案:公益財団法人財産(含み益)運用について
第三号議案:役員・評議員候補者選考規則案について
第四号議案:その他

【報告事項】:
1.現在進行中の臨床試験について
2.JFMCデータベース事業の進捗状況について
3.認定IRBについて
4.今後の会議日程について
5.その他

★過去の理事会議事録についてはこちらから

 
当財団の症例集積状況
 
  JFMC49-1601-C5  症例集積中です!
      食道癌患者へのDCF療法時における成分栄養剤の口腔粘膜炎抑制作用の検討
      −エレンタール©非投与群を対照群としたランダム化第Ⅲ相比較臨床試験(EPOC2 study)−
 
詳細をみる
 
 

      ★今まで行われた当財団の臨床試験一覧についてはこちらから(詳細がPDFでご覧いただけます)

 
 
寄付支援のお願い
 
本財団ではQOL(Quality of life)を最優先にした「患者に優しい治療法」を確立するために臨床試験をおこなうことを主な使命とし、今後のがん患者さんの福音のために、その役割を果たしていく所存です。そのためには、皆様からのご支援、ご援助、ご理解が必要であります。
 
詳細をみる
 
感謝を込めて
 
ご協力を頂きました企業様には、ご支援のお礼を兼ねて各企業様のロゴマークを当財団の季刊誌であります、「がん集学財団ニューズ」や刊行物、ホームページに掲載させて頂き、御社のロゴマークから御社のホームページにリンクを貼らせて頂きます。
ご興味のある企業様はこちらから、下記メールアドレスまでお問い合わせください。          
 
 
お問い合わせ先・その他
本メールマガジンは、当財団の臨床試験にご参加頂いているご施設の先生方、役員、委員、寄附・賛助会員の皆様へ配信をしておりますが、(1カ月に1回程度の配信予定)お知り合いの方々にもご転送を頂きましてより多くの皆様に、当財団の活動をご覧頂けますと幸いです。

・新規メールマガジン登録・配信先メールアドレスの変更は、こちらから
・当財団のプライバシーポリシーはこちらから
・メールマガジンバックナンバーはこちらから

※配信停止を希望される場合は、こちらから

発行元:公益財団法人 がん集学的治療研究財団
〒136-0071東京都江東区亀戸1-28-6タニビル3F
TEL:03-5627-7593 / FAX:03-5627-7595
E-mail: merumaga@jfmc.or.jp
HP: http://www.jfmc.or.jp/
Copyright © 公益財団法人 がん集学的治療研究財団 All Rights Reserved.