がん集学的治療研究財団 評議員 徳島大学大学院 医歯薬学研究部 消化器・移植外科学 教授 島田 光生 |
政府は、2017年9月に、人生100年時代を見据えた経済社会システムを創り上げるためのグランドデザインを検討する会議として“人生100年時代構想会議”を立ち上げました。その中には、世界的なベストセラーになった『LIFE SHIFT(100年時代の人生戦略)』の著者リンダ・グラットンさんも有識者として起用されています。 海外の研究では、2007年に日本で生まれた子供の半数が107歳より長く生きると推計されており、日本は健康寿命が世界一の長寿社会を迎えることになると予想されています。そのため政府はこの人生100年時代に、「生産性革命」と「人づくり革命」を車の両輪として少子高齢化という最大の壁に立ち向かうことを決定しています。 人生100年時代のヘルスケアでは、健康づくりや疾病予防を進める社会と、寿命まで安心して生きることのできる社会づくりが鍵となります。ヘルスケア領域では、人工知能やIoT、バーチャルリアリティや拡張現実などの新たなテクノロジーを活用したサービス“ヘルステック”の重要性が益々高まっています。例えばヘルスケア分野のIoT市場規模は2021年に向けて年平均成長率26%超で成長するとの見通しもあります。ヘルステックは、ウェラブル機器を活用した健康管理、オンライン診療・遠隔医療、遠隔保健指導や遠隔モニタリング、地域医療情報連携ネットワーク、創薬や医薬品流通を支援するICT、人工知能によるケアプランなど多岐にわたっています。 さて人生100年時代にがん集学的治療研究財団はどのように対応すべきでしょうか? 利根川進さんは、ノーベル賞を受賞した途端に研究分野をガラリと変えて、神経科学の道へと転向したと言われています。がん集学的治療研究財団も良き伝統を継承するとともに、ヘルスケアシステムの中の“がんケア革命”という位置づけで、健康づくり(がんの一大要因であるメタボ対策など)を通じたがん予防研究、がんケアに特化した社会システム(がん患者に優しいシステムつくりなど)構築研究、ヘルステックをがんケアに積極的に応用していく臨床研究など、大胆に変わることが必要だと考えます。まさに前原喜彦理事長の『創始と継志』の考え方「先達の努力により、国民の健康・福祉を向上させる技術が創始された。創始を可能にした志が継志され、技術が飛躍的に高まり普及した。その歴史に思いをいたし、現代の外科医療を担う者も、さらに新たな術式を開発し、工夫改良を加え、医療の質の向上に寄与すべき」を財団でも具現化していくことになると感じています。 |
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★今まで行われた当財団の臨床試験一覧についてはこちらから(詳細がPDFでご覧いただけます) |
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