がん集学的治療研究財団 理事長 前原 喜彦
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新年あけましておめでとうございます。
当財団は1980年に開設以来、主な事業としてがん薬物療法を中心とした臨床試験を展開し、胃癌や大腸癌、その他乳癌や肺癌等に関する多くの大規模臨床試験を多数実施してきました。その実施試験数は現在進行中のものも含め51課題となります。登録施設数は600施設以上で、これまで、延べ37,000例以上の症例が登録されています。
昨年は、新規臨床試験としまして、JFMC50-1701-C6(ロンサーフ(TFTD)使用使用例の後ろ向き観察(コホート)研究)、JFMC51-1702-C7(標準化学療法に不応・不耐の切除不能進行・再発大腸癌に対するTFTD(ロンサーフ)+Bevacizumab併用療法のRAS遺伝子変異有無別の有効性と安全性を確認する第ニ相試験)を開始しており、皆様からのお力添えにより、JFMC50研究については、予定を上回る超ハイペースで症例登録が行われ、予定症例数(1,200例)対して1,773例を集積し、予定期間よりも約2か月早く集積が完了しました。また、JFMC51研究は、予定症例数の集積達成に向けて現在症例集積中であります。現在、改定臨床研究法の施行等を目前に控えていますが、今後、新規の臨床試験も立案、実施してゆくことを考えています。
さらに、当財団としては、これまでの事業実績内容を見直し、新たな事業の企画実施を予定しています。まずは、今まで実施してきた臨床試験の登録情報を元にして、データベース事業(DBと表記する)を行うことを予定しています。昨今ビックデータが注目されていますが、がん薬物療法のデータベース化は特に重要な社会的インフラの整備となります。
特に当財団には、大腸癌の補助化学療法に関しPhase Ⅲ試験を含め12,000例以上の登録情報が残されており、これを一元的にDB化することで、米国や欧米が構築しているACCENT データベース(結腸癌補助化学療法に関する米国と欧州の臨床試験DB)と統合することも重要な目的としています。臨床試験の登録情報を用いた大規模データベースでは、症例数の多さと内容の正確さを生かし、エンドポイントの妥当性や、年齢や人種による薬物の効果の違いなどを詳細に解析することができます。本事業は海外の臨床試験グループとのコラボレーションを含め非常に重要であり、当財団の存在意義を世界に発信する絶好の機会と考えています。
今年も職員一同なお一層の努力をする所存です。今後とも皆様からのご支援・ご協力を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
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