(公財)がん集学的治療研究財団 メールマガジン「JFMCからのメッセージ」 vol.16
 
今月のコラム
 
桑原博行氏

がん集学的治療研究財団
評議員
群馬大学大学院総合外科学
教授 桑野 博行

健康寿命とJFMCのこれから

 健康寿命とは人の寿命において「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことであり、国民の健康づくりを目標に提唱された健康日本21(第2次)でも、少子高齢化の日本において健康寿命を延ばすこととが基本的な方針として挙げられている。2010年の統計では健康寿命は男性では70.42歳、女性では73.62歳と報告されているが、逆に医療、介護が必要な「不健康な期間」を見てみると男性9.13年、女性12.68年であり今後も平均寿命と健康寿命を近づける取り組みが必要と考えられる。そのような観点から、がん医療、特に各phaseにおける予防とがん集学的治療研究財団の役割の可能性について考えてみたい。

1)一次予防:がんを発症する人を減らすのが目的であり、がんのリスクファクターに関する教育、啓蒙活動が重要である。特に学校教育の現場で「がん予防教育」を行うことは将来的な健康管理意識の高まり、健診受診率向上に繋ることが期待される。また日本対がん協会は「がんを防ぐ12ヶ条」として食物生活、酒、タバコなどがんのリスクを高めないために注意すべき生活習慣を提唱している。

2)二次予防:早期発見・早期治療によりがんから治癒する人を増やすのが目的。そのためにはがん検診の受診率の向上に向けた啓蒙活動や健診の質を担保するためのがん登録精度が重要である。またがん毎にハイリスク患者を予測し管理するための知見も得られており、乳がんにおけるBRCA遺伝子変異、胃癌におけるピロリ感染、子宮がんにおけるヒトパピローマウイルス感染など厳重なスクリーニングやピロリ菌除菌、HPVワクチンなど一部は対応が確立しつつある。手術における「補助療法」の意義の検討は、その根治性の向上への方向性を見定める重要な課題であり、今日までの、そして今後も本財団の貢献の意義は大きい。

3)三次予防:がんは外科的に切除したり、抗癌剤、放射線照射により根治の得られる症例も存在する。そのような患者に対する再発の早期発見・予防、また再発した際は苦痛の軽減やQOLの改善を目指すことが三次予防の目的である。特に外科手術後は多くのがん患者で一時的にはがんのない状態となるが、再発する患者も少なからず存在し、適格な術後サーベイランスの確立がそれぞれのがんで求められている。「高度進行・再発がん」に対する更なる治療戦略の構築には、本財団の関与の重要性は更なる意義をもつ。がんサバイバーや希少がん患者に関してはこの分野の知見が少なく、がん登録を利用した今後のさらなるデータ集積が必要とされている。
 
 このような状況の中、今日までの本財団の活動と意義に加え、健康寿命を延ばすという広い視野から本財団が臨床研究構築はもとより幅広く活動の多様性を模索する中で、我が国のがん医療と健康の向上に大きく寄与することを望むものである。

 
   
新臨床試験 説明会のお知らせ

会場風景1

JFMC50-1701-C6 新規臨床試験の説明会を平成29年4月28日(金曜日)に横浜にて開催致します。
詳細等は追ってお知らせいたします。

研究課題;ロンサーフ(TFTD)使用症例の後ろ向き観察(コホート)研究

【研究説明会 詳細】
日 時:平成29年4月28日(金曜日)14:00~15:30
    (開場・受付は13:00から)
会 場:横浜グランドインターコンチネンタルホテル
    パシフィックルーム3F
住 所:〒220-8522 神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1
TEL:045-223-2222(代表)

※ 説明会参加には事前登録が必要となります

 
 
 
第12回理事会を開催しました!

平成29年3月16日(木)に当財団の第12回理事会が開催されました。
本理事会では下記の審議事項及び報告が行われました。

審議事項:第一号議案:平成29年度事業計画並びに収支予算について
     第二号議案:第3期委員会 委員選任について
     第三号議案:事務局長選任の件
     第四号議案:その他
報告事項:1. 新規臨床試験(JFMC49-1601、JFMC50-1701)について
     2. 利益相反委員会について
     3. 医療機器委員会について
     4. 市民公開講座開催について
     5. 現在進行中の臨床試験について
     6. 今後の会議日程について
     7. その他

★過去の理事会議事録についてはこちらからご覧ください
★今まで行われた当財団の事業報告についてはこちらからご覧ください(詳細がPDFでご覧いただけます)
 
 
新任のご挨拶

去る3月16日開催の、当財団第12回理事会におきまして、4月1日より、金子正利が事務局長として 就任いたしましたので、ご報告申し上げます。

 
詳細をみる
 
   
当財団の症例集積状況
 
  JFMC49-1601-C5  症例集積中です!
      食道癌患者へのDCF療法時における成分栄養剤の口腔粘膜炎抑制作用の検討
      −エレンタール©非投与群を対照群としたランダム化第Ⅲ相比較臨床試験(EPOC2 study)−
 
詳細をみる
 

      ★今まで行われた当財団の臨床試験一覧についてはこちらから(詳細がPDFでご覧いただけます)

 
 
寄付支援のお願い
 
本財団ではQOL(Quality of life)を最優先にした「患者に優しい治療法」を確立するために臨床試験をおこなうことを主な使命とし、今後のがん患者さんの福音のために、その役割を果たしていく所存です。そのためには、皆様からのご支援、ご援助、ご理解が必要であります。
 
詳細をみる
 
感謝を込めて
 
ご協力を頂きました企業様には、ご支援のお礼を兼ねて各企業様のロゴマークを当財団の季刊誌であります、「がん集学財団ニューズ」や刊行物、ホームページに掲載させて頂き、御社のロゴマークから御社のホームページにリンクを貼らせて頂きます。
ご興味のある企業様はこちらから、下記メールアドレスまでお問い合わせください。          
 
 
お問い合わせ先・その他
本メールマガジンは、当財団の臨床試験にご参加頂いているご施設の先生方、役員、委員、寄附・賛助会員の皆様へ配信をしておりますが、(1カ月に1回程度の配信予定)お知り合いの方々にもご転送を頂きましてより多くの皆様に、当財団の活動をご覧頂けますと幸いです。

・新規メールマガジン登録・配信先メールアドレスの変更は、こちらから
・当財団のプライバシーポリシーはこちらから
・メールマガジンバックナンバーはこちらから

※配信停止を希望される場合は、こちらから

発行元:公益財団法人 がん集学的治療研究財団
〒136-0071東京都江東区亀戸1-28-6タニビル3F
TEL:03-5627-7593 / FAX:03-5627-7595
E-mail: merumaga@jfmc.or.jp
HP: http://www.jfmc.or.jp/
Copyright © 公益財団法人 がん集学的治療研究財団 All Rights Reserved.