がん集学的治療研究財団 監事 京都府地域医療支援センター センター長 山岸 久一 |
平成28年10月23-26日国立京都国際会館に於いて第40回国際外科学会世界総会を会長として、多くの方々からの御支援を賜りながら、開会式には天皇・皇后両陛下の臨席を賜り、開会式終了後は学会関係者のみ100名に対してレセプションを行って頂きました。両陛下の行幸啓を賜ります約2週間前には、ご進講で皇居の両陛下の前で約50分間、学会およびその関連について、あらかじめ御説明に参上させて頂きました。小生の同総会の副会長の大辻英吾教授(京都府立医科大学 消化器外科)と2人で、両陛下の対側に座り、両側に宮内庁の役人2人ずつ(右側:侍従長と侍従、左側:女官長と侍従)座しているという状況の中で、先ず天皇陛下から「よろしかったら、お茶をどうぞ」と勧められた事を皮切りに、あらかじめ宮内庁経由で両陛下にお届けしてあった「学会の内容説明書(約40頁)」について、最初から順にご説明しながら、途中で両陛下から交互にご質問があり、それにお答えするという様式で50分が経過しました。 最も印象的であった事は、お話しが終了して部屋からお帰りになられる時に、天皇陛下のお言葉が「お客様が先に退室されるのではないですか?」と侍従長に向って述べられましたが、私達2人は天皇・皇后両陛下をお見送りしてから、部屋を去らせて頂きました。この事から、天皇・皇后両陛下は宮内庁の役人から多方面からの進言を受けながらの日常であるのだと痛感致しました。 開会式では、小生が先導させて頂き舞台中央に両陛下が着席されるまで御案内させて頂きました。 もう一つ開会式終了後のレセプションにまつわる件であります。宮内庁から100人位の学会関係者を選ぶように連絡があり、名簿を提出しましたところ、海外・国内共に夫婦での出席予定者名簿の女性がすべて赤線で消されてありまして、レセプション出席者は男性のみにして下さいのと事でありました。国際学会で夫婦での出席を許さないという事は、日本の国情について、男中心社会であるとの誤解を受けては困るとの思いから、国際学会を主催する者として、日本の恥である旨を強く抗議しました。返事では、それなら海外の夫婦だけは出席許可するが、日本人は男性のみにして欲しいとの事でした。その場合でも、日本社会は男性のみとの誤解を受ける事必須である旨、再度抗議をする事で、日本人も夫婦で出席可能となりました。 ところが、夫婦でのレセプション出席は可能でありますが、天皇・皇后へのご挨拶は男性のみとの制限を受け、これを了解しなければレセプションの施行があやぶまれる雰囲気になったのでそこで小生も承知しました。 準備段階での裏話しのみでしたが、実際のレセプション(30分)では、天皇・皇后は、立ったままで、乾杯を済まされ、最初に会長と家内は両陛下と会話をさせて頂き、次からは、海外の夫婦は両陛下の所へ行き会話をするのは男性のみという形で行われました。その中でドイツの外科医は皇后陛下の前で直立不動の姿勢で緊張していましたところへ、皇后陛下は自ら、一歩前に進んで彼の右手を皇后陛下の両手で引き寄せられて、握手をされた。その後数日は手を洗わなかったと後日談をしてくれ、その時の興奮が覚めない様子でありました。 その意味でも、両陛下の国際交流での「心」の奉仕は素晴らしいと感激しました。奇しくも、この学会のテーマは「心、Kokoro」でありまして、本当に有難い経験をさせて頂きました。 この世界総会では多くの皆々様からのご協力を賜り、厚く厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。 |
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