(公財)がん集学的治療研究財団 メールマガジン「JFMCからのメッセージ」 vol.13
 
今月のコラム
 
今井 浩三氏

がん集学的治療研究財団
評議員
東京大学医科学研究所
学術研究基盤支援室長
客員教授
今井 浩三

橋渡し研究の重要性と課題


 橋渡し研究とは、画期的な医薬品等を効率的・効果的に国民へ還元することを目指し、大学・研究所発の有望な基礎研究成果を臨床・治験へつなぐ研究分野である。このために、文科省は10年前から全国に拠点を配置して、橋渡し研究を推進してきた。2期10年の節目を迎え、そのシーズがまさに芽を出し、果実になろうとしている。
 私が学長時代に本プロジェクトの北海道の代表者を務めていた札幌医大では、当初からの基礎研究が進展し、自己骨髄間葉系幹細胞を使用した脳梗塞ならびに脊髄損傷に対する第3相医師主導治験による再生医療が行われており、好成績を示している。がんに関しては、札幌医大の膵がんに対する新しいがんワクチンが基盤研究から開発され、札幌医大、東大医科研病院、神奈川県立がんセンターで、第2相医師主導治験が完了した。現在その成果を解析中である。その後、私自身が2010年に東京大学に赴任したが、東大も当初からTR研究の関東における拠点となっており、多くのシーズを育成してきた。東大医科学研究所では、がんに関しては、「遺伝子組み換えウイルスを用いたがん治療開発」、「がん幹細胞特性を制御する転写因子を標的とした難治性乳がん治療法の開発」、等々が行われている。本TRプロジェクトは、来年度からさらに5年間続行するものと思われ、新たな展開が期待される。
 一方、医師主導治験を含む臨床研究の先にあるのは、企業による治験である。ここに対する日本の製薬企業等からのサポートは必ずしも充実していない。大きな問題である。すでにヨーロッパでは、「Innovative Medicines Initiative (IMI)」という組織を作り、政府、アカデミアと産業界が一体となって、新たな医薬品等の開発を、グローバルな観点で行っている。アメリカでもこのTRに関する動きは活発で、予算も大きく重点的な活動が展開されている。問題は、我が国の状況であろう。冒頭触れたように、大学に拠点は準備されてきて我が国から新たな医薬品を世界に提供する機は熟してきた。AMEDも創設されたが、折角のシーズを臨床に適用する面での予算は明らかに不足しており、改善が望まれる。また、シーズが臨床に行くためには10年程度の期間が必要である。この間、研究者は特許のこともあり、論文・学会発表ともに出しにくく、目に見える成果は少ないのが実態である。従って、大学の研究者・教員に対する評価に、論文だけではなくTR実績も加えるべきである。これらを臨床レベルに持ち上げるには、多大な研究費と、長い年月の知恵と忍耐が必要である。他方、若手や中堅の研究者にこの分野で活躍してもらう必要があるので、彼らにインセンティブを与えるべきである。以上、企業の姿勢、国の資金、大学等の研究者に対する評価、をどうマネージするか、そこに日本発の大型医薬品開発の成功のカギがあるといえよう。

 
   
平成28年度第36回研究発表会・第37回贈呈式が行われました!
 

去る平成28年12月2日(金)に、平成28年度第36回研究発表会・第37回贈呈式がアルカディア市ケ谷私学会館で行われました。

前年に受賞をした8名の先生方から研究発表が行われ、理事や委員の先生方からも様々なご意見を頂きました。

平成28年度一般研究助成応募数は54件中、一般研究選考委員会にて厳正なる選考の結果、5名の先生方に助成金が贈呈されました。


プログラムの詳細はこちらからご覧ください。
 
   
新規臨床試験 JFMC49-1601-C5(EPOC2 study)説明会が開催されました!

会場風景1
 
会場風景2

去る平成28年12月10日(土)新横浜プリンスホテルにて、新規臨床試験JFMC49-1601-C5(EPOC2 study)説明会を開催しました。


研究課題;食道癌患者へのDCF療法時における成分栄養剤の口腔粘膜炎抑制作用の検討−エレンタール®非投与群を対照群としたランダム化第Ⅲ相比較臨床試験(EPOC2 study)−


研究開始は平成29年1月の予定となります。

 
 
 
市民公開講座 を開催いたします! 2017年2月8日(水)
 
市民公開講座
    昨年の会場の様子

例年、日本生活習慣病予防協会との共催により、市民公開講座を行っておりますが、今年も2月8日(水)に日比谷コンベンションホールにて開催いたします。今年のテーマは「禁煙とがん治療」です。
皆様お誘い合わせの上、是非お越し下さい。

詳細をみる
※本講演会は原則、日本生活習慣病予防協会ホームページ特設フォームより事前申込制となっております。(近日公開となります)
 
 
当財団の症例集積状況
 
  JFMC48-1301-C4(ACHIEVE-2 Trial)
      再発危険因子を有するハイリスクStageⅡ結腸がん治癒切除例に対する術後補助化学療法としての
      mFOLFOX6療法またはXELOX療法の至適投与期間に関するランダム化第Ⅲ相比較臨床試験
 
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      ★今まで行われた当財団の臨床試験一覧についてはこちらから(詳細がPDFでご覧いただけます)

 
 
寄付支援のお願い
 
本財団ではQOL(Quality of life)を最優先にした「患者に優しい治療法」を確立するために臨床試験をおこなうことを主な使命とし、今後のがん患者さんの福音のために、その役割を果たしていく所存です。そのためには、皆様からのご支援、ご援助、ご理解が必要であります。
 
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感謝を込めて
 
ご協力を頂きました企業様には、ご支援のお礼を兼ねて各企業様のロゴマークを当財団の季刊誌であります、「がん集学財団ニューズ」や刊行物、ホームページに掲載させて頂き、御社のロゴマークから御社のホームページにリンクを貼らせて頂きます。
ご興味のある企業様はこちらから、下記メールアドレスまでお問い合わせください。          
 
 
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