2018年2月7日(水)13:30~15:45 日比谷コンベンションホール
◆導入講話「生活習慣病予防と食生活」
演者:蒲池桂子先生(女子栄養大学教授)
◆講演1)「高血圧の怖さと少食、少塩のすすめ(仮)」
演者:猿田享男先生(慶應義塾大学名誉教授)
座長:細谷龍男先生(東京慈恵会医科大学名誉教授)
◆講演2)「食生活とがん予防・治療 ~2度のがん罹患体験をふまえて~」
演者:小西敏郎先生(東京医療保健大学副学長、医療栄養学科長)
座長:桑野博行先生(群馬大学大学院総合外科学教授)
◆総合討論
各講演の演者および座長
座長:池田義雄先生(タニタ体重科学研究所名誉所長、元東京慈恵会医科大学教授)
演者:登壇者全員
一般社団法人 日本生活習慣病予防協会
公益財団法人 がん集学的治療研究財団
認定NPO法人 セルフメディケーション推進協議会
厚生労働省、公益財団法人健康・体力づくり事業財団
健康日本21推進全国連絡協議会糖尿病治療研究会
一般社団法人日本産業保健師会、読売新聞社
株式会社タニタ、サラヤ株式会社、森永乳業株式会社
カリフォルニアプルーン協会、株式会社ローソン
小西先生から、近年のがん医療のトピックスの一つとして、高齢化やがん治癒成績の向上とともに、一度なにかのがんに罹患し治癒した人が別のがんに罹患する「二次がん」の発生が増えている現状を紹介した。小西先生自身も胃がん(ピロリ菌陰性)と前立腺がんの二度のがん罹患体験をもつ。小西先生は、自身が食生活等、生活習慣に気を付けていたのにもかかわらず、二度罹患したことから「がんは高血圧と異なり、こういう食生活をすれば予防や治療ができるという確実なものはない」と述べた。
「がん予防に確実なものはない」としつつも小西先生は、現時点でのエビデンスを整理し紹介した。まず、すべてのがんに共通して言えることとして、毎日15分程度の軽い運動が予防につながる可能性、肉食ががんを増やす可能性、飲酒により顔が赤くなる人は飲酒が発がんを増やす可能性があるという。その上で、エビデンスレベルは不均一ながらも最先端の情報を紹介。塩分過多と胃がん、アルコール摂取と食道がん、加工肉と大腸がんの関係など、10種類のがんについて網羅的に解説。肥満や糖尿病も発がんに関与していることに注意を促した。
【日本人のがんを防ぐには?】
➢ 生活習慣や感染対策
➢ 毎日15分程度の軽い運動で心血管疾患やがんの予防を
➢ がんの原因は「肉食」
➢ 塩分が多い食事はピロリ菌の炎症を助長して胃がんに
➢ 熱いものは食道の粘膜を傷つけて食道がんに
➢ 食卓に野菜を盛り付けて胃がん・食道がんを減らす
➢ 顔が赤くなる人は アセトアルデヒドが体内に増えて発がん
➢ 肥満や糖尿病も発がんに
●がんを予防するには、さまざまな食材をバランスよく。
●しかし「聖人君子?」もがんになる。
●がんの原因の1/3は運。
このような注意を守ることで発がんを減らせる可能性はあるものの、高血圧などの生活習慣病の予防ほど確かなものではない。そのためがんの予防に関しては、とにかく早期に発見し先制的に治療することが重要であることを小西先生は強調した。
その具体例として、年1回の定期的ながん検診により、腎がんがみつかり部分切除で治癒した症例や、一般的に予後が悪いとされている膵がんを治療できた症例などを紹介した。また大腸がんについては、内視鏡検査でそれによる死亡を30%減らすことができるという。
がん検診の積極的な受診も含めて“生活習慣を改善”することが、高血圧等の生活習慣病を予防と、がんの治癒につながると言えそうだ。